屋根の形の種類とそれぞれのメリットとデメリット
この記事では、屋根の形について説明していきたいと思います。
屋根の形って日常的にあまり意識したことがないのではないでしょうか。
実は、結構種類があるんです。
代表的なものでも「切妻(キリヅマ)」「片流れ」「寄棟」「方形(ホウギョウ)」と4種類もあります。
しかも、種類によって住み心地や将来発生するメンテナンス費用も変わってくるのです。
そのため、安易に屋根の美観やオリジナリティを追求することはおすすめできません。
シンプルな屋根が優秀な屋根といわれています。
ということで早速、屋根の種類とそれぞれの特徴やメリット・デメリットについて説明していきたいと思います。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
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これから住宅購入・建築を考えているあなたへ
戸建て住宅の購入、建築設計時に屋根の形には注目するようにしてください。
とても大切なことです。
そして、可能な限り無駄がないシンプルな屋根の形をおすすめします。
屋根の形だけではなく、軒先の長さや勾配も、雨漏りなどの将来発生するおそれのある劣化症状を補修する費用に大きく関係してくることを覚えておいてください。
では、具体的にどんな屋根が良いのか?どんな屋根は避けるべきなのか?
ここから見ていきましょう。
雨漏りしにくい屋根と避けるべき屋根を知っておこう
屋根の大きな目的のひとつは、雨漏りを防ぐことです。
では、どんな屋根が雨漏りをしにくいのでしょうか?
これは、複雑な形の屋根より、下屋根のないシンプルな切妻や寄棟などのほうが雨漏りの発生するリスクは低いという見方があります。
ただし、寄棟は屋根結合部が多いから雨漏りしやすいといった見解もあるのです。
そのため、断定は難しいですが、実は、どちらも間違ってはいないのです。
雨漏りしにくい屋根に関しては、さまざまな見解があるため難しいのですが、避けるべき屋根の形は確実にあります。
その3つの屋根の形を紹介していきます。
「谷樋板金」がある屋根
L字型やT字型の敷地で住宅を建てる際、連続性のない屋根と屋根が取り合う形になります。
この屋根と屋根の取り合い部(結合部)に谷樋板金が使われます。
谷樋を用いて結合した屋根を複合屋根とも呼びます。
複合屋根は雨漏り発生のリスクが高いといわれています。
「下屋根と外壁の結合部」がある屋根
下屋根と外壁の結合部で使われる板金を雨押え板金といいます。
この形の屋根は雨漏りのリスクが高いので、避けるべきだといわれています。
「軒先の出」がない、または短い屋根
軒の出(ケバラの出を含む)が短い場合、軒先と外壁の結合部から雨水が浸入しやすくなります。
それだけではなく、外壁が劣化しやすく窓や開口部からの雨漏り発生のリスクも高いです。
「片流れの軒ゼロ住宅」が流行ったりもしていますが、雨漏り発生のリスクを考えると、おすすめできない屋根ではあります。
軒先の出はしっかりとある屋根のほうがおすすめです。
屋根の種類と同じくらい工事の品質が大事
先述したように雨漏り発生のリスクが高い屋根の形や部位は確かにあります。
しかし、どんな屋根でも雨漏り発生のリスクはゼロではありません。
とどのつまり形や部位だけでなく、業者や職人の経験値や技術、使用する屋根材の品質のほうが重要だということです。
そのため、屋根工事を依頼する際は、じっくりと時間をかけて優良な業者に依頼するようにしてくださいね。
とはいえ、結局どの屋根が一番いいの?
結論から申し上げますと、残念ながらこの質問にしっかりとした答えをすることはできません。
なぜなら、屋根の形それぞれにメリット・デメリットがあり、家主が重要視することでベストな屋根が変わってくるからです。
ただし、総合的なバランスを重視して判断するのならば、切妻(キリヅマ)がおすすめです。
代表的な屋根のメリットとデメリット
切妻(キリヅマ)
切妻は誰もが馴染みのある三角屋根のことです。
見たことがある人がほとんどだと思いますが、名前まで知っている人はすくないのではないでしょうか。
切妻(キリヅマ)と呼ぶので、覚えておいてくださいね。
切妻は、非常にシンプルで雨漏り発生のリスクや将来のメンテナンスの費用が低い屋根といわれていますので、おすすめの屋根といえます。
そんな切妻のメリットとデメリットを簡単に紹介します。
【切妻のメリット】
●工事費用や工事期間を抑えることができる
●初期費用を抑えられる
●将来発生するメンテナンス・リフォーム費用が経済的
●リフォームの工期が短い
●屋根面積や形がシンプルなので使用材料の量やロスを抑えることができる
●雨樋や棟の長さが短い
●作業が簡単でスピーディなため、寄棟と比べて人件費を抑えることができる
●住み心地のよい住宅設計ができる
●軒天換気や換気棟の他に、妻側にガラリ換気を設置できる
●ソーラーパネルが設置しやすい
●屋根裏にスペースを確保できる
●雪が落ちる場所がわかりやすい
●洋風・和風のどちらにでも合う
●すべての屋根材を使うことができる
【切妻のデメリット】
●妻側の壁面に紫外線や雨水が当たりやすいので、劣化が進みやすく雨漏り発生のリスクが高まる
●たくさんの住宅で採用されているため個性がない
片流れ屋根
片流れ屋根とは、1面だけ傾斜している屋根のことです。
そのため、雨樋を取り付ける方向は1方向だけです。
コストを抑えることを重視している人には、おすすめの屋根です。
【片流れ屋根のメリット】
●初期費用が抑えられる
●将来発生するメンテナンス・リフォーム費用が経済的
●リフォームの時の工期が短い
●窓を高い位置に取り付けることが可能なため部屋が明るくなる
●雪が落ちる場所がわかりやすい
●雪が溶けやすい
●棟に関するトラブルがない
●ソーラーパネルが設置しやすい
【片流れ屋根のデメリット】
●壁面の量が増える
●妻側および軒先反対側の壁面に紫外線や雨水が当たりやすいので、劣化が進みやすい
●壁面からの雨漏り発生のリスクが高くなる
●屋根の面積が狭く雨水を受ける量が多いので、劣化しやすい
●棟換気が設置できない
寄棟屋根(方形屋根)
寄棟屋根は、4方向に傾斜面がある屋根のことで、切妻の次に多くみられる屋根です。
地上に対して水平になる最上部のことを「大棟」、傾斜がある棟を「下り棟もしくは隅棟」と呼びます。
この最上部の大棟がある屋根が寄棟であり、ない屋根を方形屋根と呼ぶのです。
寄棟の初期費用とリフォーム費用は、安いとはいえません。
ですが、日差しや雨などの影響をやわらげる効果もあるため、長期的に住宅を守るという面では優秀な屋根であります。
【寄棟のメリット】
●建築基準法に対応しやすい
●4方向すべての外壁を保護できる
●壁面量が減る
●雨や雪の量を分散させられる
●風への耐久性が高い
【寄棟のデメリット】
●トータルコストが大きい
●リフォームの際に部材合わせによる使用材料のロスが発生する
●雨樋や棟が長くなる
●工期がかかる
●軒天のメンテナンスやリフォームが必要になる
●ソーラーパネルの設置数が制限される
●4方向すべてに雪が落ちる
●屋根裏のスペースが狭い
●ガラリ換気が設置しにくい
勾配にも配慮したほうがいい
勾配とは、屋根の傾斜角度のことです。
勾配が急であればあるほど、雨水排水の速度が上がるため、雨漏り発生のリスクが下がります。
しかし、急勾配にすると屋根面積が広くなり、リフォームのときに屋根足場を設置しなければならなくなります。
勾配をリフォームで変更することも可能ですが、かなり大がかりな工事になります。
屋根の形も同様で、リフォームで変更することが可能ですが、こちらも大がかりな工事になります。
まとめ
屋根の形が住宅において、とても重要な箇所です。
家を守るために日々、外的要因にさられています。
屋根には、さまざまな種類があり、それぞれに特徴がありますので、家主が重要とすることと屋根の特徴を照らし合わせてベストな屋根を決めることをおすすめします。
そこまでのこだわりがないのであれば、シンプルな屋根がおすすめです。
長い間つきあっていくことがほとんどの住宅です。
じっくりと時間をかけて慎重に選ぶくらいが一番だと思います。