外壁に撥水効果を持たせる前にメリットとデメリットを知ろう!
外壁や屋根は、家をさまざまな外的要因から守るという役割を担っている大切な部分です。
そんな雨や紫外線などから家を守っている外壁や屋根なので、当然のように汚れや劣化が見られるようになります。
しかし、撥水効果を持たせることで、雨をさらに寄せ付けないことができるのです。
家を雨などから守るための外壁に、雨をさらに寄せ付けない撥水効果と聞くと、凄いメリットがあると思うのでしょうが、残念ながらデメリットもあります。
この記事では、そんな撥水効果の内容やメリット・デメリットについて詳しく紹介していきます。
これから家を建てる方や、塗り替えを検討している方は、参考になることが見つかるかもしれませんので、ぜひ最後まで読んでみてください。
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撥水塗料ってどんな塗料?
撥水効果を持たせる撥水塗料についての知識を得て、あなたのお住まいに撥水効果が必要かどうかをしっかりと見極めてから塗装を検討しましょう。
撥水・防水・親水
まず知ってもらいたいことは、外壁塗装における水対策は主に3種類あります。
それが…
- ①撥水
- ②防水
- ③親水
の3つになります。
この撥水や親水を含めて「防水対策」や「耐水効果」とひとまとめにすることもありますが、塗料の防水のしくみとしては、多少の違いがありますので、それぞれの違いを把握しておきましょう。
撥水とは?
撥水とは、水と撥ねつける、弾くということです。
撥水効果を持っている外壁に雨水が当たっても、雨水が外壁に染み渡らず、水滴の粒として流れ落ちます。
撥水剤は、外壁に膜を張るという感じではなく、外壁に撥水剤そのものが浸透することで効果を発揮します。
防水とは?
防水効果は、撥水効果と違い外壁の表面をコーティングすることで発揮する効果になります。
防水効果を持つ塗料は、そこまで特別ではなく塗料のほとんどは樹脂の膜をつくるため、基本的に防水効果を備えています。
そのため、外壁を塗り替えると表面に塗膜をつくり、雨が外壁に染み込まないようになります。
親水とは?
親水とは、水になじみやすい性質を持つということです。
親水効果のある塗料を外壁に塗ると、表面に親水効果を持つ膜がつくられます。
ここで勘違いしないでいただきたいのが、「水になじみやすい」は水を吸収しやすいということではありません。
確かに親水性の塗膜は、従来よりも雨水が外壁に付着しやすくなるのですが、外壁に発生している汚れを付着した雨水が流れ落としてくれます。
このセルフクリーニング効果が親水のなせる業です。
撥水剤が合う外壁とは?
撥水剤は、打ちっぱなしのコンクリートに適しているとされています。
なぜなら、打ちっぱなしコンクリートは表面が塗料などで保護されていないため、雨水が直にコンクリートに当たってしまうからです。
そこで、撥水剤を塗り内部に浸透させておくことで、コンクリート内部の鉄筋などを、雨水から守ることになるのです。
撥水剤は無色の塗材なので、他にも意匠系サイディングや、塗りつぶすとデザイン性が失われる外壁材をコーティングするために、撥水剤やクリヤー塗料が使用されることがあります。
ただし、無色なので、もちろんカラーチェンジに使用することができず、ゆえに汚れが多い外壁や、色あせやひび割れが発生している外壁に撥水剤をぬっても、汚れや劣化が透けてしまい見た目をよくする効果は見込めません。
撥水効果を持つメリット
少し先述したように、基本的に外壁塗装をおこなえば防水機能は備わります。
しかし、あえて撥水剤により外壁に撥水効果を持たせることには、メリットがあります。
ここからは、そのメリットを見ていきましょう。
鉄部を水から守る
窓サッシや雨樋の部材など、外壁にはさまざまな鉄部があるのですが、その鉄部の最大の弱点はサビです。
サビは金属に水分が触れることで発生し、サビが別の金属に触れると、どんどん範囲を拡大していき、最悪の場合、膨張や穴をあけてしまう可能性があります。
そんな水に弱い鉄部の表面には、撥水剤を塗り水分を完全にシャットアウトしておくべきです。
特に鉄筋コンクリートの住宅は、サビが深刻なダメージになりますので、内部の鉄筋まで水分が浸透してしまわないように、撥水効果を持たせることをおすすめします。
水を弾くことで汚れを防ぐことにつながる
水を弾く効果を持てば、雨も雪も弾くことができるため、それらに含まれている泥やホコリが外壁に付きにくくなります。
さらに、これがカビやコケの発生を防ぐことにもつながるのです。
外壁に付着した汚れは、蓄積すればするほど落ちにくくなり、ホースでの水洗いくらいでは落とせなくなってしまいます。
そのため、あらかじめ撥水剤を塗っておくことで、水や汚れを近づけないようにしておきましょう。
撥水効果を持つデメリット
先ほどまで撥水効果のメリットについて説明してきたので、「汚れにくくなり、建物の劣化を促進させる水分を寄せ付けないなんてすごい」と思っている方が多いでしょう。
しかし、そんな撥水剤も決して万能というわけではありません。
お住まいの地域や立地条件によっては、撥水剤により余計にダメージを加えてしまうおそれもあるのです。
そうならないように、撥水効果を持つことでのデメリットを紹介していきますので、しっかりと把握してお住まいにふさわしいかどうか判断するようにしてくださいね。
通気性が悪くなる
外壁に付着した水分を内部に浸透させないようにするということは、反対に内部で発生した湿気も外に逃げられなくなるということなのです。
外壁内部の結露や湿気が、外壁の外に逃げられず内部にとどまってしまうと、外壁材のさまざまな劣化症状の原因になり、防水シートや構造材など外壁の下地部分を劣化させることにもつながってしまいます。
最近の住宅は、外壁が通気工法になっており、躯体には防水シート、外壁と構造材のあいだには水の通り道があるので、内部に水分が発生しても、水が躯体に触れず排水されるようになっています。
しかし、撥水塗装をすると、内部結露が外に逃げにくくなってしまいます。
そのため、屋外と室内の寒暖差が大きい地域にお住まいの方は、撥水剤の使用をじっくりと検討するようにしてくださいね。
撥水剤には、浸透機能という、外の水は内部に入れず、中の水は外に出す機能を持ったものもあります。
内部の水分を逃がさないといけない、特に鉄筋コンクリートの建物は、この浸透機能を持つ撥水剤をおすすめします。
撥水塗料そのものに防汚機能はない
撥水剤の効果は、水を撥ねつける、弾くのみです。
たしかに撥水剤を塗布することで、外壁に汚れは付着しにくくなるのですが、それは水を弾くことの付加効果によるもので、撥水剤そのものに汚れを落とす力はありません。
汚れを落とす機能を持たせたいのであれば、光に反応して汚れを分解する、光触媒塗料を使用しましょう。
あるいは、耐用年数が長く防汚機能も高いフッ素塗料もおすすめです。
まとめ
撥水剤は、デメリットもありますが、外壁を水から守ってくれる素晴らしい塗料です。
お住まいに撥水剤が適しているのかどうかをしっかりと判断してから使用するようにしましょう。
その際は、信頼のできる業者に相談してみることをおすすめします。
適していないのに、撥水剤を使用するとかえってダメージを与えることにもつながりかねませんので、注意してくださいね。
大切なお住まいを長く美しく快適に保つためにも、じっくりと検討するようにしましょう。