台風による被害を受けた屋根は県民共済・こくみん共済で修理できるの?
日本は、自然災害が非常に多い国であり毎年のように台風が訪れてしまいます。
台風によって住宅が被害に遭ってしまったという人も少なくないのでしょうか。
そんな台風被害にあったときの備えとして「損害保険」があります。
そのほかに「共済」というものがあります。
風災被害に遭った場合の屋根の修繕費用を得るという点では、どちらも似ている制度です。
違いといえば、保険と共済は運営母体が違います。
そのため、内容に異なる点が多いです。
屋根の修理に関して調べていると保険に関する情報がたくさん出てくるので、共済も同じような補償が得られると思ってしまう人も多いです。
ということで、この記事では加入者が多い「県民共済(都民共済)」と「こくみん共済」について詳しく説明していきたいと思います。
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台風で屋根に被害が出たとき、共済から修理費用は支払われるのか?
住宅被災を対象としている共済の場合、「風水害」を設定していることが多いです。
台風、暴風雨、突風、高潮、高波、洪水、豪雨、降雪、雪崩などで被災にあったときに共済金が支払われます。
しかし、共済は民間の損害保険よりも掛け金が少ないのが特徴です。
そのため、火災保険などの損害保険と異なり、共済では修理にかかる費用の全額が支払われないことがあります。
損害状況や加入している共済の種類・プランによって請求できる修理費用が違いますし、お勤めの企業や公共機関によっても受け取れる共済金が変わってきます。
共済は保障・火災保険は補償
共済と火災保険の違いに、使用する言葉があります。
それは「保障」と「補償」です。
たとえば、民間の火災保険では保険金のことを「補償金」というのですが、共済の場合は共済金を「保障金」といいます。
加入者が支払う「保険料」も言葉が違いまして、民間の火災保険では「保険料」といい、共済では「掛け金」といいます。
保険料・掛け金の支払い方法も違う
民間の火災保険は、保険期間の保険料をまとめて「一括払い」することが多いです。
以前は30年を超える一括払いが可能でしたが、現在は最長10年となっています。
最近は、保険会社の利益を圧迫するほどの大きな自然災害が続々と発生するので、ものすごいスピードで保険契約の期間が短くなっています。
反対に、共済は長期分を一括で支払うことができないことが多いです。
掛け金は、基本的に「月払い」であることが多いです。
ここからは、県民共済(都民共済)の保障金額について説明していきます。
県民共済(都民共済)の保障金額について
県民共済(都民共済)に加入している人が、火災や風災による被害に遭ったときに受け取ることができる共済金のことを「風水害等見舞共済金」といいます。
県民共済は、共済金のことを見舞金として位置づけているのです。
では、どのくらいの共済金が支払われるのか、例を見ていきましょう。
風水害等見舞共済金(住宅および家財)
加入額が2000万円以上で住宅および家財が一部破損した場合、損害額が50万円超100万円以下なら、見舞共済金の限度額は40万円になります。
加入額が2000万円未満ならば、限度額は加入額の2%になります。
共済金の金額を簡単に表にまとめてみましたので、チェックしてみてください。
被害額(請求額) | 共済金(支払額) |
---|---|
100万円超 | 60万円 |
50万円超100万円以下 | 40万円 |
20万円超50万円以下 | 20万円 |
20万円以下 | 一律5万円 |
共済金の支払いの基準額に大きな幅があることが特徴です。
見積書の金額がたった1万円違うだけで、支払われる共済金額が20万円も違ってしまうのです。
風水害等見舞共済金(付属建物等)
見舞共済金は、住宅に付属している門や塀、物置、カーポートなどが一部破損した場合にも支払われます。
損害額が10万円を超えたもので、一律5万円が支払われます。
しかし、家財のみの共済に加入している場合は、付属建物が破損しても共済金が支払われることはありません。
対象外となります。
屋根瓦や棟板金飛散などの一部破損は、県民共済で支払われる共済金のマックスである65万円が支払われます。
こくみん共済(全労災)の保障金額
こくみん共済は2つのプランから選べるようになっており、「火災での被害」だけ重視している「シンプルプラン(火災共済)」と台風や地震などの自然災害も重視している「ベースプラン(火災共済+自然災害共済)」となります。
どちらのプランでも、台風での被害には共済金が支払われます。
しかし、シンプルプランかベースプランかで、被災したときの共済金の金額が大きく違います。
火災共済だけの風水害等共済金
支払いの基準が設定された「共済金」と共済金を元に算出される「臨時費用共済金」の2つの合計金額が支払われます。
被害額と共済金の例を簡単に表にまとめてみましたので、チェックしてみてください。
共済金に加えて共済金の15%が臨時費用共済金として支払われます。
被害額(請求額) | 共済金(支払額) |
---|---|
100万円超 | 40万円 |
50万円超100万円以下 | 20万円 |
20万円超50万円以下 | 10万円 |
20万円以下 | 一律5万円 |
自然災害共済(保険)の風水害等共済金
火災共済だけでなく自然災害共済にも加入していることで、共済金の金額が大きくなります。
自然災害共済の方が、修理費用を請求した場合、満額の支払いを期待することができます。
もちろん、請求した修理費用を超える金額が支払われることはありません。
被害額と共済金の例を簡単に表にまとめたので、チェックしてください。
被害額(請求額) | 共済金(支払額)大型タイプ | 共済金(支払額)標準タイプ |
---|---|---|
100万円超 | 840万円 | 600万円 |
50万円超100万円以下 | 100万円 | 100万円 |
20万円超50万円以下 | 50万円 | 50万円 |
20万円以下 | 20万円 | 20万円 |
付属建物等特別共済金
県民共済(都民共済)と同じで、住宅に付属している門や塀、物置やカーポートなどの一部が破損した場合にも、見舞共済金が支払われます。
損害額が10万円超の破損で、一律3万円になります。
請求するのを忘れがちな共済金のため、忘れずに請求するようにしてくださいね。
共済での保障金の申請の仕方
ここからは共済を利用するための手続きの仕方を紹介していきます。
基本的には、民間の損害保険の請求と同じです。
加入中の共済に連絡する
連絡すると、まず、加入者の名前や電話番号、加入者番号などを尋ねられるので、あらかじめ共済契約証書を準備しておきましょう。
他にも、り災日時、損害程度も確認されるので、事前にメモとって確認しておきましょう。
大型の自然災害によって被害に遭ったときは、電話回線が混雑することが考えられるため、ウェブサイトのお問い合わせフォームからお手続きすることをおすすめします。
書類を提出
共済金請求書類が送られてくるので、必要事項を記入してから書類を提出してください。
共済の職員が現地調査をおこなうことがあります。
必要書類は、加入している共済によって違いますが、大体「共済金請求書」と「修理業者から提示された見積書」「損害箇所からわかる写真」の3点が多いです。
共済金が支払われる
提出した書類の内容が審査されて、問題がなければ共済金が支払われます。
内容に不備がある場合は、問い合わせがきます。
請求内容によっては、照会や再調査をすることもあります。
支払いまでは、民間の損害保険よりもスムーズにおこなわれるといわれています。
しかし、大規模な災害が発生した場合は、当然、対応が遅くなってしまうため、被害が発生したら早めの申請をおすすめします。
まとめ
台風によって住宅が被害に遭った場合、共済で保障を受けられることが多いです。
災害などで住宅に損害が発生したら、共済をうまく利用するようにしましょう。
もちろん、加入している共済やプランによって共済金の金額が変わってきます。
そのため、共済金で修理費用を全額カバーするというよりも、費用の足しにできるという考えで利用しましょう。
これから新規で共済の加入を考えている人は、なるべき手厚い保障の共済に加入することをおすすめします。